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非居住者が日本にある不動産を売却したら確定申告は必要?不要?その理由と手続きの税理士解説

「今は海外に住んでいるから、日本の不動産を売っても、日本の税務署には関係ない!」
→ そんなことはありません。日本の税務署だけでなく、お住いの国によっては、居住国での申告も必要です。

日本に不動産を持つ非居住者が売却した場合、国税庁のWebサイトに記載されている通り「原則として日本の税務署へ確定申告の手続きが必要」となっています。

この記事では、非居住者が不動産を売却したときに確定申告すべき理由と、その具体的な手続き、源泉税との関係などについて、税理士がを詳しく解説します。

非居住者とは?不動産売却時に重要な区分

まず「非居住者」とは、日本国内に住所も1年以上の居所もない人を指します。

海外赴任、移住、駐在などで生活の本拠を海外に移している方は、税務上は非居住者という区分になります。

非居住者は、不動産の売却した年の翌年2月16日から3月16日に、日本に住んでいる代理人(納税管理人)を選定して、その代理人が売却不動産の所在地などを所轄する税務署へ確定申告する必要があります。

非居住者が不動産を売却すると何が起こる?

非居住者が日本にある不動産を売却した場合、次の2つの課税関係が発生します。

・譲渡所得税
→ 不動産の売却益に対して課税される(確定申告が必要)
・源泉所得税
→ 買主が売却代金の10.21%を源泉徴収し代理して納税されてしまう
(1億円以下で買主が個人の場合を除く)

よって、「税金が引かれて終わり」ではなく、自ら申告して正確な税額を計算し、過不足を調整する必要があります。

確定申告が必要な理由とは?

買主が法人の場合や売却金額が1億円以上の場合には、売却代金から源泉所得税が差し引かれてしまいます。
その源泉徴収された10.21%は、あくまで概算で仮納付された税金です。
実際の譲渡所得は、次の計算式で求めます。

譲渡所得 = 譲渡価額 -(取得費+譲渡費用)

つまり、売却不動産の購入価格や売却にかかった仲介手数料や仲介手数料などを引くと、実際の利益はもっと小さくなることが多いのです。

その場合は、確定申告をすることで差し引かれてしまった源泉所得税分の還付を受けることができます。

確定申告しなかった場合のリスク

・差し引かれた税金の還付が受けられず損をする(数万円〜数百万円)
・税務署からの調査やお尋ねを受ける可能性ある

申告が必要になるケースと不要なケースの比較

申告が必要なケース

  • 源泉徴収された税額が実際の税額を下回る場合(追加納税の申告)
  • 源泉徴収された税額が実際の税額を上回る場合(還付の申告)

申告不要なケース

  • 売却損となった場合
  • 源泉徴収された税額が実際の税額と同額の場合(追加納税・還付ともになし)

非居住者の確定申告の流れ(5ステップ)

  1. 譲渡所得の計算(売却価額・取得費・譲渡費用)
  2. 納税管理人の選任と届出(必須)
  3. 必要書類を準備(売買契約書・登記簿・仲介手数料明細など)
  4. 申告書作成と税務署への提出
    (税理士以外の納税管理人の場合には郵送提出のみ:電子申告不可)
  5. 還付がある場合は、銀行口座へ還付金が後日振込入金
    (原則として、代理人である納税管理人の銀行口座へ還付となるが、一定の手続きをすることにより申告者本人の口座へ変更可能)

納税管理人を選任する理由と届出方法

非居住者が確定申告を行うには、国内に住所がある「納税管理人」を選任し、「納税管理人の選任届出書」を税務署に提出するとともに、提出する確定申告書には、納税管理人の住所と氏名を記載する必要があります。

・納税管理人は日本に住んでいる個人(税理士や親族がほとんど)
・確定申告書は納税管理人が提出
・申告、還付通知受取り、納税などの税務署との窓口になる
非居住者の確定申告は、外国から自分で電子申告することは可能ですか?
【答え】残念ながら、電子申告はできません。

2024/5/27より海外転出の際に市区町村の窓口で手続きをすることで、有効なマイナンバーカードを海外でも引き続き利用できるようになりましたが、非居住者の方の確定申告(正確には「税理士以外の納税管理人による確定申告」)は、現時点では電子申告ができない仕様になっております。

◆ 編集後記 ◆

現在海外にお住まいで、親から相続した不動産を売却された方からのご依頼が、コロナ禍以降増加している印象があります。

このような方の多くは、数カ月後にお住まいの国の税務当局への申告が必要となる場合があり、日本と現地国間で二重課税を回避するための仕組みが設けられています。

そのため、確定申告からしばらく経った後に、現地の税務当局や会計士から「日本の税務署へ提出した証拠としての確定申告書が必要です」と依頼を受けるケースがあります。

ところが、2025年1月より、税務署では郵送提出された確定申告書に対して収受日付印を押さなくなりました。

したがって、税務署が正式に受領したことを証明できる確定申告書(エビデンス)が必要な場合には、電子申告による提出が必須となります。

なお、現時点では非居住者が電子申告を行うには、税理士が納税管理人として選任される必要があります。

そのためには、早めに納税管理人を引き受けてくれる税理士に相談し、早めに手続きを進めることをおすすめします。

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