海外にお住まいの方(非居住者)の確定申告
非居住者の確定申告
海外転勤や移住により国外に住んでいる人も、日本国内に下記にような国内源泉所得があり、その所得の金額が基礎控除額(48万円)を超える場合には、原則として、翌年2月16日から3月15日までの間に、確定申告をする必要があります。
なお、非居住者には、原則として「ご自身による確定申告書の提出は認められていない」ので、注意が必要です。
具体的には、非居住者が、日本の税務署へ確定申告するためには、日本に住所がある個人や法人に「納税管理人(代理人)」になってもらい、『納税管理人の届出書』を提出するとともに、その納税管理人が代理で確定申告をすることとなります。
- 日本にある自宅などの不動産を賃貸して、家賃収入があるとき
- 日本にある不動産を売却して、所得が生じたとき
- 国内上場企業の株式を保有し、日本国内で売却したとき など
- 日本にある不動産の家賃収入から「源泉所得税(20.42%)が差し引かれている」とき
- 日本にある不動産を売却し、売却代金から「源泉所得税(10.21%)が差し引かれている」とき など
非居住者の確定申告の手続き
① 納税管理人の届出
非居住者の確定申告をするためには、納税管理人を定めて「納税管理人届出書」を税務署へ提出しなければなりません。
納税管理人は、日本に住所がある個人又は法人がなることができます。
通常は、家族やご親族のほか、税理士に依頼することとなります。
<提出先>
- 家族がそのまま出国者と同じ住所に居住 → その住所地の所轄税務署
- 出国者に国内不動産の賃貸収入がある場合 → その不動産のある所轄税務署
- いずれにも該当しない場合 → 前年までと同じ税務署
- その他一定の場合 → 麹町税務署
固定資産税の納税管理人の届出
国内に不動産をお持ちのまま、非居住者になる場合には、その後も毎年の固定資産税の納付が必要となります。
出国前に不動産のある市区町村へ「納税管理人申告書」の提出も必要となります。
② 確定申告書の提出
原則として、納税管理人が、非居住者の納税地を所轄する税務署長に対して提出することになりますが、税理士が代理提出することも可能です。
海外からの電子申告
確定申告にはe-Tax(イータックス)と呼ばれる、ネットで申告書を作成して提出する国税庁のサイトがあります。
「e-Taxを使って海外から確定申告しよう」と考えている人もいるかもしれませんが、残念ながら、非居住者の方の確定申告は、海外から電子申告をすることができない仕様になっております。
(e-Taxが、税理士以外の納税管理人による電子申告について、対応していないだけでなく、日本の住民票を抜いてしまうと、マイナンバーの番号が無効となっているため)
海外から印刷した確定申告書を国際郵便にて提出する
確定申告書は「信書」に該当するため、税務署に送付する場合には、必ず「郵便物(第一種郵便物)」又は「信書便物」として送付する必要があります。
(原則として、宅急便やゆうパックなどの小包での提出もできないことになっています)
海外から民間の国際郵便などにより郵送する場合には、税務署側で消印日がないため、正式な提出と認められない可能性も想定されますので、ご注意下さい。
【参考】申告書の税務署への送付(国税庁HP)
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/sofu/index.htm
③ 納税や還付金の受取り
確定申告の結果、納税が必要となる場合には、納付期限までに「納付書」又は「振替納税」にて納付することになります。
税務署に納付するための「納付書」は、日本国内の金融機関(日本銀行歳入代理店)か、所轄税務署のみの取り扱いになりますので、海外の金融機関では納付することはできません。
したがって、振替納税やダイレクト納付の未登録の方は、日本にいる「納税管理人や税理士」に、日本にある銀行や郵便局で代わりに納付してもらう必要があります。
還付金の受取りは、納税者又は納税管理人の日本国内の金融機関の銀行口座への振込入金となります。
海外にお住まいの方(非居住者)の確定申告代行サービス
当事務所では、下記のような非居住者の方についても、確定申告代行サービスを受け付けております。
- 海外転勤などで日本にある自宅などの不動産を賃貸して、家賃収入がある人
- 日本にある不動産を売却して、所得が生じている人
- 住民票がない非居住者のため、海外からの電子申告ができずお困りの人
- 家族などを納税管理人として、確定申告書を税務署への提出をお願いしたい人
- 税理士に納税管理人となってもらい、確定申告書を税務署への申告をお願いしたい人
- 日本の税務署へ税金を納付したいが、海外の金融機関から納税ができずにお困りの人
- 日本にある不動産の家賃収入から源泉所得税(20.42%)が差し引かれているので、確定申告して還付を受けたい人
- 日本にある不動産を売却し、売却代金から源泉所得税(10.21%)が差し引かれているので、確定申告して還付を受けたい人 など