「もうすぐ海外赴任だけど、税金のことは後でいいかな…」
そんなふうに思っていませんか?
実は、出国前にやっておかないと後でトラブルになるのが「準確定申告」です。
この記事では、準確定申告とは何か、どのような手続きが必要なのかを、税理士がわかりやすく解説します。
準確定申告とは?
準確定申告とは、納税者が死亡したとき、または出国などで日本国内に住所や居所がなくなり「非居住者」になるときに、それまでの所得を清算して申告・納税する制度です。
つまり、出国によって居住者でなくなる場合、1月1日から出国日までの期間の所得を、原則として出国時点で申告しなければなりません。
なぜ準確定申告が必要なのか?
日本の所得税法では、居住者と非居住者で課税対象が異なります。
そのため、「居住者であった期間の所得」を非居住者になる前に区切って申告・納税するのがルールです。
この手続きが「準確定申告」です。
通常の確定申告との違い
通常の確定申告 | 準確定申告 |
---|---|
翌年の2月16日〜3月15日に前年分を申告 | 出国時点までの所得を出国前後に申告 |
申告者本人が提出 | 本人または納税管理人が提出 |
課税対象は1年間のすべての所得 | 出国までの期間に限られた所得が対象 |
準確定申告が必要な人
以下のようなケースでは、準確定申告の対象となります。
なお、海外に出国する日までに、勤務先の会社が年末調整してくれた場合には、準確定申告は不要です。
- 海外赴任・転勤で1年以上日本を離れる予定がある人
- 日本の住民票を抜き、国外転出届を出す人
- 今後、日本に住所・居所を持たなくなる人
準確定申告の手順(5ステップ)
準確定申告の手順は、以下の通りです。
(2020年分より準確定申告も電子申告可能となりました。)
- 1月1日から出国日までの所得を集計
- 源泉徴収票や所得控除の書類を入手
- 年末まで入手できない書類については、自分で集計
- 確定申告書(第一表・第二表)を作成
- 確定申告書の提出(郵送提出・電子申告)
- 納税がある場合には、納税手続き
納税管理人の選任
出国後に確定申告する場合には、非居住者となるため、自分自身が日本国内で税務手続を行うことができなくなり、「納税管理人」の選任が必要になります。
納税管理人とは、日本国内に居住する人の中から選ぶ必要があり、本人の代わりに税務署とのやりとりや納税手続きを行います。
一般的には、日本に住んでいる親族や税理士が納税管理人になることが多いです。
投稿者プロフィール

- 盛永 崇也(東京神田で開業している税理士・行政書士事務所の代表)
「税務相談・税務顧問や経理経営支援・法人申告・確定申告・給付金申請・相続手続の代行・法人設立や廃業支援や代行」など、法人個人を問わず、お金にまつわる様々なサポートしております。
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